横浜市では平成6年度より、ごみの減量化と資源化のための一環として、事業系生ごみの堆肥化実験を行い、その有効利用を図るための研究を東京農業大学土壌学研究室に依頼してきました。これが、東京農業大学発生ごみ肥料「みどりくん」誕生のきっかけでした。
生ごみリサイクルといえば、生ごみを堆肥化して農業利用することが一般的ですが、生ごみを堆肥化するには用地と時間を要します。また、堆肥化の過程でアンモニアガスが揮散します。大量に生ごみが発生する都会では堆肥化は合理的ではありません。
そこで、生ごみを堆肥化せずに肥料化する、それが東京農業大学の生ごみ肥料化研究でした。平成14年(2002年)4月には東京農業大学世田谷キャンパスのリサイクル研究センター内に生ごみ肥料化プラントを設け、本格的な生ごみ肥料化研究を開始しました。
当初は、乾燥した生ごみに少量の尿素を添加して炭素率を10程度に調整後、直径3mm、長さ5mmのペレットに成型する技術を開発しましたが、普通肥料である尿素に異物(生ごみ乾燥物)を混入することは肥料取締法に抵触するとの理由で、公定規格化が認められませんでした。
そこで、乾燥した生ごみを搾油機にかけて油を搾った「生ごみ油かす」を作り、それを成型化しました。生ごみの堆肥化とは、微生物の作用で生ごみ中の有機物を分解させて炭素を二酸化炭素として揮散させ、炭素率を下げることに他なりません。堆肥化の替わりに油を搾って炭素率を下げる、それが生ごみ肥料化の原点です。
この方法を開発して、特許(第4940444)を申請後、(学)東京農業大学理事長名で農林水産大臣に新規肥料の仮登録申請を行いました。その結果、平成10年(1998年)10月に仮登録が認められました。その後7年間、7度にわたり仮登録更新手続を繰り返してきましたが、この度の肥料取締法の改正により普通肥料の有機質肥料に「食品残さ加工肥料」という新規公定規格が加えられ、2018年9月5日付けの官報(号外第195号)に公告されました。当該公定規格の施行は、2018年10月5日です。

今後、生ごみ肥料「みどりくん」は有機質肥料「みどりくん」に生まれ変わります!

東京農業大学 名誉教授 全国土の会会長  後藤 逸男

 

「みどりくん」小

みどりくん袋