農家のための土と肥料の研究会として、平成元年(1989年)10月に発足した「全国土の会」が今年で32年目を迎えます。この「全国土の会」には令和2年6月現在全国各地に22の支部組織があります。その名称を、従来は「全国土の会○○支部」としていましたが、平成20年以降は、支部組織を「地域土の会」と称することになりました。
福島県内におきましては、平成5年前後に福島県野菜園芸技術研究会(福野研)のメンバーを中心に「全国土の会福島県支部」が立ち上がりましたが、事務局体制を構築できなかったため、10年程で休止状態となりました。その当時の福島県支部会員は「全国土の会」の個人会員として現在に至っています。
平成23年3月11日の東日本大震災から9年経過しましたが、福島県では浜通りの沿岸部で大津波、全域で福島第一原子力発電所事故に伴う放射能被害を受けました。その2ヶ月後には、「東京農業大学東日本支援プロジェクト」が結成され、相馬市・南相馬市・伊達市を中心に津波被災水田と放射能汚染農地での作付再開のための活動が開始されました。そのプロジェクトでは全国土の会会長の後藤逸男教授(現在、名誉教授)が土壌肥料グループのリーダーとして、被災地域の農家・JA・行政と連携した復興活動を続けてきました。
そのような経緯の中で、1年程前から福島県内での支部(地域土の会)再立ち上げの機運が高まり、6月23日にJAふくしま未来を事務局とする「ふくしま土の会」立ち上げ総会が、JAふくしま未来本店3階の大会議室で開催されました。当初は4月上旬の開催が計画されましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となっていました。
新型コロナウイルス感染防止対策が施された立ち上げ総会会場には、発起人代表者の斉藤保行さん(福島市:ハウスキュウリ)を始めとする賛同者の他に、事務局関係者など26名が参集しました。13時30分の開会に続いて、全国土の会後藤逸男会長と発起人代表斉藤保行氏による挨拶、JAふくしま未来の菅野孝志組合長による祝辞がありました。その後、斎藤保行氏を議長として、規約・役員選出・事業計画・予算などが議事として提出され、全員一致で承認された。
役員として、会長:斉藤保行氏(福島市:ハウスキュウリ)、副会長:小林久夫氏(南相馬市:ハウスキュウリ)他が選出された。この日登録された会員は、個人会員18名、賛同会員(団体または法人):3団体(JA全農福島(農業技術センター)・JA福島さくら・JAふくしま未来)、特別会員(アドバイザー):3団体(福島大学農学類・福島県・JA福島中央会)でした。なお、「ふくしま土の会」のアドバイザーして支援する特別会員制度が設けられました。他の「地域土の会」にはなかった画期的な会員制度です。
総会終了後には、全国土の会後藤逸男会長による、「ふくしま土の会」設立講演「めざせ! 土のプロ」が行われ、15時30分に閉会しました。