7月4日(月)に「第5回土壌診断分析研究会」が東京農業大学グリーンアカデミーで開催され、全国各地からJA系(系統)と商系の肥料関係両者を含めて61名が参加した。 13:30、JA全農あおもりの上平章弘さんの司会、斗澤康広会長(JA十和田おいらせやさい部長)の挨拶で開会した。先ず冒頭に、オブザーバーとして出席した農林水産省生産局農業環境対策課の柚賀 修課長補佐から計量法に関する情報提供があり、「施肥設計のための土壌診断分析は計量法に該当しない」ことになった経緯や理由が説明された。 その後、後藤逸男による基調講演「エッシェル型ICP発光分光分析装置による土壌診断分析」が行われた。ICP発光分光分析はわが国の土壌肥料学分野で1970年代から使われ始め、研究用分析装置としては広く普及してきたが、土壌診断室での利用はまだわずかにすぎず、原子吸光・炎光分析が主流となっている。同時多元素分析が可能なエッシェル型ICP発光分光分析装置を土壌診断分析に応用すると、従来のシーケンシャル形に比べて測定時間が飛躍的に短縮できること、アルゴンプラズマの真上から測光する軸方向観測を用いると従来の横方向観測に比べて感度が10倍程度向上する。ただし、カリウム・ナトリウム分析では横方向観測より大きなイオン化干渉を受ける。それを回避するには0.01M/Lのセシウムを共存させることが有効である。エッシェル型ICP発光分光分析装置と自動化学分析装置の組合せにより土壌診断分析の飛躍的効率化が達成できる、などが報告された。 休憩を挟んで、「第5回手合わせ分析結果」が紹介された。北海道富良野市のタマネギ畑と水田から採取した2点の土壌について、19の土壌診断室が手合わせ分析に参加した。pH(H2O)については、変動率が5%以下であったが、交換性塩基・CECでは10~20%、その他の分析項目ではそれ以上のバラツキとなった。同一土壌を分析してもこの程度の変動となる土壌診断分析の現状である。今後いかにこのバラツキを縮めるかが土壌診断分析研究会の課題である。 続いて、吉田綾子東京農大客員研究員が座長となり、「土壌診断分析の分析効率化への課題とその対策」と題するシンポジウムが行われた。事前に参加者からアンケートを回収し、それらの取りまとめ結果を題材にさまざまな論議が行われた。シンポジウムは本研究会最初の試みであったが、参加者には大変好評であった。 研究会終了後、キャンパス内の学食に会場を変えて情報交換会が行われた。中嶋大地副会長((株)生科研会長)の挨拶と乾杯で始まり、和やかかつ活発に意見交換がなされ、19:30盛会裡に終了した。

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