土壌診断の基本は、畑や田んぼに穴を掘ることから始まります。穴を掘って、その断面から土をとり土性や粘性、構造、湿り具合などを判定すれば、土壌物理性のほとんどを知ることができます。しかし、pHや電気伝導率、養分量などの土壌化学性は土を手で触っても、舌でなめてもわかりません。そこで必要になるのが、土の化学分析です。
そのような土の化学分析を「全国土の会」や全国のJAなどの土壌診断室に依頼すると、時間がかかってしまうので、簡易分析器や試験紙などを購入して自分で分析した方がよいと思っている人も多いようです。
先に結論からいえば、土の化学分析には土壌診断室での分析と、自分で行ういわゆるリアルタイム分析の両方が必要です。さまざまな土壌診断分析項目には、土の中であまり変化しない項目と、時々刻々と変化する項目があります。具体的には、可給態(有効態)リン酸は経時的にはそれほど変化しません。そのため、せいぜい年に一回分析を行えばよいのです。また、交換性石灰・苦土・カリなどの塩基類は、リン酸ほどではありませんが、著しく変化する成分ではありません。そのため年に数回の分析で充分です。また、それらの分析項目は、試験紙などでは正確な分析が行えません。そこで、多少時間がかかっても土壌診断室に依頼した方がよいのです。
一方、畑やハウス土壌内での硝酸態窒素の変化は急激です。硝酸態窒素が増減すれば、pHと電気伝導率も大きく変化します。例えば、野菜の葉色がうすくなってきたので、土壌診断分析を行って窒素追肥の有無を判断しようとしても、土壌診断室に頼んでいたのではらちが明きません。そこで、農家自身が自分で、その場で、すぐに分析するリアルタイム分析が必要になります。
すなわち、リアルタイムに分析しなければならない土壌診断分析項目はpH(H2O)と硝酸態窒素、あるいはpH(H2O)と電気伝導率です。なお、通常電気伝導率は硝酸態窒素量に反映されますので、硝酸態窒素が測定できれば、電気伝導率測定は不要です。
このようなリアルタイム診断分析用器具はさまざまありますが、最も簡単で使いやすいツールが農大式簡易土壌診断キット「みどりくん」です。「みどりくん」にはpH(H2O)と硝酸態窒素を測定する「みどりくんN」と水溶性リン酸とカリを測定する「みどりくんPK」があります。上記のような観点で、皆さんに使ってほしいのは「みどりくんN」です。
その「みどりくんN」の使い方ビデオが公開されました。ぜひご覧頂き、実際にこの「みどりくん」を使って「健康な土づくり」に役立て下さい。

「みどりくん」動画を見るには、こちらをクリックして下さい。

東京農業大学 名誉教授
全国土の会  会長
後藤 逸男
みどりくん小