長年の目標であった生ごみ肥料「みどりくん」の「食品残さ加工肥料」としての肥料登録が2021年11月に成し遂げられました。

生ごみ肥料「みどりくん」のこれまでの研究開発経緯は次のとおりです。

1996年: 生ごみリサイクルの研究を開始、そのきっかけは横浜市環境保全局(当時)よりの研究依頼。横浜市からでる生ごみを乾燥後に堆肥化したので、それを横浜市内で使いたい。成分分析を行い、有効な肥料資源であることを確認、横浜市内の専業農家20軒ほどで試用。コマツナ栽培では、ビタミンC含有量が増加した。ただし、臭気のため都市農業地域では利用不可との意見。それが、生ごみを堆肥化せずに肥料とする「みどりくん」開発の原点。
1999年: 乾燥した生ごみに少量の尿素を添加混合して成型化する初代「みどりくん」を開発。特許第3004633号「生ごみリサイクル肥料」を取得。
2002年: 4月世田谷キャンパスのリサイクル研究センター内に、「みどりくん」実験プラントを設置。12月より、世田谷区清掃リサイクル部とのコラボで、「東京農大式生ごみ肥料化プロジェクト研究運営協議会」を設置。太子堂の給食センターより日量約500kgの中学校給食の生ごみが搬入され、「みどりくん」を試作。
2004年: 4月川崎市から学校給食生ごみ日量100kgが搬入され、「みどりくん」の試作開始、できた「みどりくん」は川崎市が引き取り、小学校などで環境教育に活用。
2005年: 3月東京農業大学学長名で、肥料公定規格の改正を申し出たが、生ごみ乾燥物への尿素添加方式による生ごみ肥料の公定規格化は難航。
2007年: 「じゅんかんチャレンジ桜丘」活動開始。生ごみ乾燥物を搾油して炭素率を低下させた後に成型する新しい生ごみ肥料「みどりくん」製造方法を開発。
2010年: 10月(学)東京農業大学理事長名で申請した、搾油型「みどりくん」の仮登録が認可。
2010年: 世田谷区が予算上の都合で、東京農大への生ごみ搬入を中止。
2012年: 搾油型「みどりくん」の特許査定を受ける。特許第4940444号「生ごみから有機質肥料を製造する方法」
2014年: 川崎市が予算上の都合で、東京農大への生ごみ搬入を中止。その後は、学内から出る生ごみのみを原料として、「みどりくん」を試作。試作された「みどりくん」は、「じゅんかんチャレンジ桜丘」活動の一環として、世田谷キャンパス近隣の農家で活用、「みどりくん野菜」を生産。
2018年: 10月に新規公定規格「食品残さ加工肥料」が設けられた。
2019年: 10月グッドデザイン賞受賞「都会完結型生ごみリサイクルシステム」
2020年: 4月の緊急事態宣言に伴い、キャンパス封鎖。「みどりくん」プラントの稼働休止。
2021年: それまで、研究目的で世田谷区から認められていた学外からの生ごみ搬入の承認期限が2月に切れる。東京農大からの肥料登録申請を断念し、民間へのプラント移設を決定。移設を希望した民間会社の中から廃棄物処理会社で、埼玉県志木市に本社を置く大村商事(株)に決定。3月に、大村商事(株)朝霞支社内に「みどりくん」プラントを移設した。その後、「みどりくん」の試作とその品質分析を重ね、10月に埼玉県知事に「食品残さ加工肥料」としての登録を申請し、11月に認可された。

12月1日に、大村商事(株)朝霞支社で盛大なオープニングセレモニーが開催された。