新年早々、1月4日(水)と13日(金)にアジアプレスから、(株)ノザワが製造する苦土肥料「マインマグシリーズ」に有害物質であるアスベストが含まれている、との報道がなされました。
 また、1月13日(金)には、日本経済新聞にも、アジアプラス報道に対して(株)ノザワが自社ホームページ( https://www.nozawa-kobe.co.jp/pdf/release230112.pdf )上で公開したコメント内容を紹介する記事が掲載されました。
 苦土肥料マインマグは過去に蛇紋岩からアスベスト(クリソタイル)を分離して、現在は(株)ノザワのフラノ事業所で保管されている副産物を無害化した資材を原料とする肥料です。今回、報道の対象とされた「マインマグC」は、無害化資材をさらに硫酸で処理した「加工苦土肥料」です。(株)ノザワと東京農業大学との共同で開発した肥料で、「マインマグC」の他に「マインマグW」「マインマグF」については、「全国土の会認証資材」としています。
 今回、上記のような報道がなされましたが、未だ真意のほどは不明です。(株)ノザワからは、現在第三者機関での分析を進めている、との連絡を受けていますので、「全国土の会」としてはその結果を待って今後の対応を決定したいと考えています。
 なお、自社ホームページに公開した(株)ノザワのコメントですが、「法令の基準を超える石綿(アスベスト)が含まれているおそれが高いことが判明いたしました。」との一方、「マインマグ製品からは、これまでの弊社及び第三者機関の検査において石綿(アスベスト)が検出されたことはありませんでした」など、矛盾する表現が認められます。また、在庫品について「二重にしたビニールの袋に入れ、テープ等で封をした上で、廃棄をせずに保管していただけますよう、ご協力をお願いいたします。」といかにも、問題物質が混入していることを認めるような表現で、弱腰な態度としか思えません。今後は、このようなあいまいなコメントではなく、例えば、無害化処理前後のクリソタイルの偏光顕微鏡写真を公表するなど、真実を明らかにする内容として頂くことを切望します。
 
 肥料価格高騰対策として、肥料自給率向上が求められているこの時期にこのような事態となったことはたいへん残念でなりません。早期にこの問題が解決し、貴重な国内肥料資源が安全・安心・有効に活用されることを願ってやみません。
 
                             2023年1月16日
                             全国土の会 会長
                             東京農業大学 名誉教授
                               後藤 逸男
  関連報道は、次の通りです。
 
アジアプレス
1月4日(水)  https://www.asiapress.org/apn/2023/01/japan/asbestos-135/
 顕微鏡写真 https://www.asiapress.org/apn/asbestos-023/4/
1月13日(金) https://www.asiapress.org/apn/2023/01/japan/asbestos-136/ 

日経新聞
1月13日(金) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF1310W0T10C23A1000000/